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窃盗罪における占有とは?
Q.窃盗罪における占有とは?
A.占有とは事実上の支配を意味する。この占有の有無は,占有の意思と占有の事実との相関関係によって判断される。
他人の占有する他人の財物
窃盗罪が成立するためには,他人の占有する他人の財物を窃取することが必要であるとされています。
例え,他人の財物であったとしても,それが自分が占有しているものや誰も占有していないものであれば窃盗罪は成立しないということです。
自分が占有している他人の財物を自分の物にしてしまう行為は,窃盗罪ではなく横領罪が検討されるべき問題ですし,誰も占有していない他人の財物を自分の物にしてしまう行為は,占有離脱物横領罪が検討されるべき問題となります。
占有
占有しているかどうかを判断するためには,占有の事実と占有の意思とが必要となると考えられています。
占有の事実とは,財物を事実上支配している状態を意味します。簡単に言えば,その財物をどのようにもコントロールすることができる状態に置いているということです。
この占有の事実は,必ずしも現実に所持していることを意味しません。現実に所持していない場合であっても,社会通念上排他的な支配が及んでいる場所にあって支配者を推知できるような場合も含んでいます。
現実に財物を持っている場合だけではなく,例えば,ある財物がAさんの家においてあった場合,その財物はAさんが占有していると考えることができるということです。
もっとも,さらに例えば,上記の例において,そのAさんの家にあった財物は,実はたまたま隣の家の子どもが間違えて投げ込んでしまったような物であったという場合にまで,Aさんの占有が及んでいると考えるのは行きすぎでしょう。
そこで,占有しているというためには,占有の意思が必要であると考えられています。占有の意思があってはじめて,占有というもの,占有の事実も発生されると考えられているのです。
占有の意思とは,財物を事実上支配する意思のことをいいます。
ある財物を特定の方法などで支配するという個別具体的な意思ではなく,包括的・抽象的な意思で足りると考えられています。
そのため,赤子や幼児であっても,ある物を自分のものとして支配しているという意志があれば,それは占有の意思があると言えることになります。
占有の判断方法
占有の意思と占有の事実は,上記のとおり,密接に関連しています。占有の事実がなければ占有は成立しえないですが,占有の意思がなければ占有の事実すら認められないのですから,占有が成立するためには,両方が必要となってくるのです。
そして,占有の有無は,この占有の事実と意思とを相関的に考慮して判断されると考えられています。
例えば,財物を現実に所持している場合のように占有の事実が強い場合には,占有の意思が弱いとしても,占有があると認められます。
逆に,離れた道端においてきてしまった場合のように占有の事実が弱い場合であっても,その財物を置いてきたことを常に意識していたように占有の意思が強い場合には,やはり占有があると認められることになるのです。