[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
窃盗罪における他人の財物とは?
Q.窃盗罪における他人の財物とは?
A.物理的な管理が可能であり,財産的価値を有する他人の所有物のことをいう。
財物の有体性
窃盗罪が成立するためには,他人の占有する他人の財物を窃取することが必要となります。
ここで「財物」とは,原則として有体物,つまり,形のある物であると言われます。固体・液体・気体が財物に当たるのです。
ただし,電気は有体物ではないですが,刑法245条によって,財物とみなすものと規定されています。したがって,電気を窃取したとしても,窃盗罪が成立し得るということになります。
しかし,現代社会では,電気以外にも,有体物でなくても経済的価値のあるものが存在します。
そこで,現在の通説は,物理的に管理が可能なものであれば財物として取り扱うべきであると考えています。これを物理的管理可能性説とよんでいます。
財物性
財物というためには,有体性があり物理的管理可能性があるというだけでは足りません。「財」物というくらいですから,財産的な価値が必要となってきます。
したがって,まったく財産的な価値が無い物は財物に当たらず,それを窃取しても窃盗罪には該当しないことになります(現実的には,まったく財産的価値のない物というものはあまりないかもしれませんが)。
他人の財物
窃盗罪における財物は,ただの財物ではありません。他人の財物です。
そもそもこのようなことが観念できるのはさておいて,言うまでもないでしょうが,自分の財物を奪取しても,窃盗罪は成立しません。
他方,誰のものでもない財物(無主物)というものは観念することが可能ですし,また現実にもあり得るでしょうが,これを奪ったとしても権利や利益を害されるということはありません。
つまり,無主物を奪っても誰の法益も侵害しないのですから,その行為に刑罰を科して処罰する必要はありません。
そのため,窃盗罪が成立するためには,窃取した財物が他人のものである必要があるのです。他人性呼ぶこともあります。